7弦ギターは以前ほど特殊なものでもなく、楽器屋さんでも比較的目にすることが多くなりました。
とはいえ通常の6弦ギターと比べると、まだまだノウハウの蓄積がメーカーによってバラバラな楽器でもあります。
商業案件のレコーディング用途として7弦ギターをかれこれ10年以上使用してきた私が今まで購入してきたメーカーや知り合いからお借りしたものなどから各メーカーの印象を本音レビューします。
特定のメーカーとエンドース契約をしているわけではないので忖度なしです。楽器店から販売斡旋を依頼されているわけでもないため、特定のメーカーをひいきにすることもありません。
実用性とクオリティ重視のため全体的に高額なギター多めで選んでいます。
アーニーボール・ミュージックマンのマジェスティです。
プログレバンドのDream TheaterのJohn Petrucciモデルとしても有名です。
YouTubeには激歪みな演奏サンプルばかり上がっていますが、メタル以外にも使おうと思えば使える音色です。
良いところ
- 25.5インチでFenderギターと同じスケールなので弾きやすい
- 指板ラジアスが17インチでかなり平ら。ハイフレットも余裕で弾きやすい
- ボディシェイプに丸みがあり、長時間演奏しても身体が痛くなりづらい
- DiMazioのピックアップの音色がレンジ感もしっかりあり、低音域でもはっきりとピッチを出せる
いまいちなところ
- 高い(新品で60~80万円)
- ヘッドの形が用途に反してかわいい
Mayones – Duvell
マイヨネーズが本国では正しい発音ですが、日本ではマヨネーズに聞こえるのでメイワンズと呼ばれています。
7弦モデルがいくつかありますが、その中でもDuvell(デュヴェル)が最も7弦らしい音と見た目のため一押しです。
Mayonesのギターは今までに5本くらい購入しましたが、なんだかんだDuvellが一番弾きやすかったです。
時期によっては国内在庫が少ないメーカーでもあるため、欲しいときが買い時です。
個人的には一番おすすめしたいメーカーです。
良いところ
- 26.5インチなのでDrop Aくらいまでなら余裕(メーカー出荷時のゲージが.010 – .60)
- 指板ラジアスが16インチで平ら
- 楽器全体の仕上げ、作りの丁寧さがかなり良い
- ネック強度がかなり高く、年中通して安定している
いまいちなところ
- 高い(新品で60万前後。以前は30万円台で買えた)
- 音が硬めなのでポップスには使いづらい(使おうと思う人いるのかな)
- 国内在庫が少ない
Mayones – Regius Core
またしてもMayonesからRegius Core(レジウス、レジアス)です。
こちらはスルーネック仕様となっており、トップもPRSのようなカーブトップになった豪華仕様のモデルです。
Duvellほど硬い音でもなく、出力もちょうど良いバランスの音色のため、ポップスでも問題なく使用できます。(使用していました。)
良いところ
- どこまでもサスティンが伸びるようなスルーネック仕様
- ローフレットからハイフレットまで非常に弾きやすい
- メタル以外でも対応できる幅の広いトーンメイキングが可能
- 最高に見た目がかっこいい
いまいちなところ
- 高い(新品で70万前後)
- 国内在庫がほぼないため、Reverbや中古ショップで探すことになる場合がある
- スルーネックなため、ボルトオンに比べ楽器自体の鳴り方は割とおとなしめ(メタル以外にも使える要素の一つでもあるため、一概にいまいちとも言えない)
Ibanez – RGDR4527ET
IbanezからはMade in JapanのRGDR4527ETです。
IbanezといえばAZシリーズが有名ですが、7弦ギターを使うならこちらのモデルがおすすめです。
特殊な構造によりどんなに強く弾いても理論上、ピッチがズレることのないEvertune bridgeを搭載し、ピックアップにはアクティブのFishman Fluence Modern Humbuckerと、まさにヘヴィな音楽をするためのような仕様てんこ盛りの楽器です。
ネックはWizard-7というかなり薄いネックのためトラッドな太めネックが好きな人には合いづらいですが、慣れればかなり弾きやすいです。
良いところ
- 新品で30万円台後半と、他機種と比べかなり購入しやすい
- Fishman Fluenceを搭載しているため、環境由来のノイズにかなり強く、ハイゲイン系機材でもノイズがほぼ気にならない
- EvertuneのおかげでDropチューニングをしながら思いっきり強く弾いても綺麗なピッチが出せるという相反することが可能となる
いまいちなところ
- 今のところ限定モデルのため、購入できなくなる可能性がある
- 薄いネックが苦手な人にはやっぱり合わないかもしれない
- アクティブピックアップのため、パッシブとはかなり音色が違う
自分にはあまり合わなかったメーカー
メーカーで一括りにするのもどうかと思いますが、買ったり借りたりしたけど自分にはあわなかった、しっくりこなかったメーカーです。
7弦ギターの紹介をしておいてなんですが、どちらかといえば普段はFenderやPRSなど結構王道なギターをメインで使用しているため、スキがなさすぎたり、アーティストモデル感が強かったり、見た目のクセが強かったり、とそういった音以外の要素でしっくりこなかったものもあります。
ESP
作りはものすごい良いし、弾きやすいのですが、近年の原材料、人件費高騰のためかかなり高額になっている印象です。以前は比較的お安くハイエンドなギターが買えるイメージでしたが、最近はしっかりと高額な部類になっています。
しっくりこなかった理由の一番はなんとなくみんな持ってそうだから。という非論理的な理由です。
SCHECTER(シェクター)
シェクターといえばダイアモンドシリーズの7弦が有名ですが、作りの精度は値段相応といったところで、どうしても2倍以上するメーカーと比べると作りの荒さや精度は気になります。
ただ、それ以上にしっくりこなかった理由が、見た目がゴテゴテしすぎていてクセが強かったからです
Strandberg(ストランドバーグ)
ヘッドレスギターでおそらく最も有名なメーカーなのではないでしょうか?
非常に軽いボディ形状とモダンなスペック、安価なモデルからカスタムメイドまで幅広いラインナップが特徴です。
ただ、どうしても、どうしてもあのネックは慣れることができませんでした。
あと、ヘッドレスだとチューニングを右手で行うことになるのでそれも自分には合いませんでした。
Ormsby Guitars(オームスビー)
オーストラリア生まれのおいしそうな名前のメーカーです。
モデルのほとんどがマルチスケールとなっており、ヘッドも独特の形状で見た目はかなり好きです。
7弦にいたっては27.5インチとなっており、かなり長いため.56ゲージでも余裕でDrop AやG#まで下げられます。
カスタムメイド以外は製造がオーストラリア以外で行われているため、作りの荒さが目立ち、自分には合いませんでした。マルチスケール自体は以外と問題なく弾けました。